<TOP PAGE<Feature articles Back No.<Feature articles

今月の特集

 オランダではクリスマスが2度あるってご存知ですか?1つはもちろん日本でもお馴染み、1225日の「クリスマス」。そして、もう1つのクリスマスとは、実は125日に祝われる「聖ニコラス」という聖人の降誕祭のことなのです。聖ニコラス…どこかで聞いたような名前でしょ?そう、あの「サンタクロース」に響きが似ていると思いませんか?一体この聖ニコラスとは何者で、オランダの人々はどんな風に彼の降誕祭を祝うのでしょうか?そして聖ニコラスとサンタクロースとの関係は…?


 オランダのクリスマス・シーズン。ちょっと寒いけれど、街は普段にも増して美しく飾られ、楽しいイベントやクリスマスショッピングが訪れる人々を待っています。
(上写真)12月1日から1ヶ月間アムステルダムの家々や運河はイルミネーションでロマンティックに飾られます。

 11月のある日曜日。聖ニコラスがズワルト・ピート達をお供に連れて、蒸気船に乗ってスペインからアムステルダム中央駅へとやって来ます。多くの人々が子供達をつれて聖ニコラスとズワルト・ピート達を出迎えようと集まり、この模様はテレビでも生中継されます。子供たちは声を合わせて歌ったり、聖ニコラスやズワルト・ピートの名を口々に叫んだりし、ズワルト・ピート達は手に持っている袋の中から子供たちに向かってクッキーなどのお菓子を投げてくれます。そしてその後、聖ニコラスは白馬に乗ってアムステルダム中をパレードして回るのです。

 実際の聖ニコラスがどんな聖人だったかというと、正確なことは分からないそうですが、一般的に4世紀のトルコの司教だったという説が有力。9世紀にはイタリアで崇拝されるようになり、その後オランダに聖ニコラスの名が広まった時点で、なぜか「イタリア」が「スペイン」に変わっていたそうです。それで聖ニコラスのお供であるピート達の肌が黒いのかも知れません。というのもスペインは何百年も肌の黒いムーア

人達に統治されていたからです。

 では、名前の似ているサンタクロースとはどの様な関係なのでしょうか?実はこの聖ニコラス伝説が17世紀、オランダ人の移住とともにアメリカに渡り、長い年月を経て現在のサンタクロースへと変わっていったと考えられているのです。白馬はトナカイに代わり、体型は太っちょにはなりましたが、サンタクロースは聖ニコラスを起源としているのです。
現在のオランダでは、聖ニコラスのお誕生日と、キリスト降誕祭であるクリスマスの両方を祝います。ただ、聖ニコラスのお祭りは子供達が主役となる楽しいお祝いで、クリスマスはより宗教色の強い、厳粛なお祝いであると考えている人が多いようです。
 

(上写真)「11月19日アムステルダム」/「聖ニコラスの到着」


 聖ニコラスがアムステルダムに到着する11月頃になると、オランダのショップウィンドーは聖ニコラスにちなんだディスプレーで飾られ、お祭り気分を高めてくれます。実際は、聖ニコラスのお誕生日は126日なのですが、クリスマスと同様、プレゼントを交換して一番盛り上がるのは5日の前夜祭。お祝いの方法は家庭ごとに様々ですが、聖ニコラスの存在を信じている子供達は、たいてい4日の晩にプレゼントを入れてもらうため、暖炉やラジエーターの横に、自分達の靴を置いておきます。靴の側には聖ニコラスの馬のために、ニンジンと水が置かれ、子供達は聖ニコラスを称える歌を歌ってから眠りにつきます。そして前夜祭当日。ちょっと変わっているのが、プレゼントに贈り主自作の詩が添えられるということ。

この「詩」はプレゼントを贈られる人をからかったりする、面白いものにするのが習慣です。となるとこの詩作はオランダ人にとっても少々やっかいらしく、この季節には口の中でブツブツと詩を作りながら歩いている人を見かけることも多いとか。そしてプレゼントの「渡し方」もユーモアたっぷりで、最初の包みを開けてみると、謎かけになった指示が書いてある紙が入っているだけ。謎を解いて次の包みを見つけて開けてみると、また次の指示が待っている…なんていうこともあるそうです。

 子供達にとっての聖ニコラスは、単に「プレゼントを持って来てくれるおじいさん」ではありません。聖ニコラスは何でも知っていて、良い子には贈り物をくれますが、悪い子にはお仕置きをするのです。パーティーに聖ニコラスが現れると、聖ニコラスは何でも書いてある大きな本を取り出します。そこには、子供達がその年にやった事がちゃんと書いてあるのです。そして1年間良い子でいた子供達はそのご褒美を受取ることが出来るというわけです。もちろん、パーティー会場でお仕置きされてしまうような悪い子なんていないのですが…。


 観光でオランダに訪れて、聖ニコラスのお祝いをするのは、ちょっと無理かも知れませんね。でも大丈夫、この時期のオランダには、他にも色々な楽しみ方があるのです。世界に名高いロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団は、この季節多くの素晴らしいプログラムを用意していますし、多彩な博物館や美術館巡りも楽しい。ちょっと体が冷えたら、温かいコーヒーやお茶で一息つくのに最適なおしゃれなカフェが数多くあります。そして、もちろん楽しいショッピング。アムステルダムには素敵なショップがたくさんありますが、この時期にはオランダ各地でクリスマス・マーケットが開催され、クリスマス・デコレーションの小物やカードなどを、リーズナブルな値段で買い求める事ができるのです。


 マーストリヒトの近く、ファルケンブルグでも、11月末頃からクリスマス・マーケットが開かれます。ここはオランダには珍しい山間の町で、温泉が出るとい

う事でも有名ですが、この時期、街中はまさにクリスマス一色といった感じ。マーケット以外にもクリスマス関係のグッズを売る店が何軒もある上、カフェやレストランはどこも競ってデコレーションを施し、サンタも繰り出してクリスマス気分を盛り上げてくれます。マーケットは街の中心部からすぐ近くにある2つの洞穴の中で開催され、クリスマス関係のグッズはもちろん、プレゼントに良さそうな置物やアクセサリー、CD、服、かばんやお菓子などなど、様々なものが売られます。会場内にはカフェがありますが、Gemeentegrotマーケットには、DJ兼シンガーがいたり、子供たちのためのメリーゴーランドまであり、買い物だけではないエンターテイメントを提供します。こういったマーケットは近隣国でも有名らしく、ベルギーやドイツ、そして海を越えてイギリスからも、バスツアーなどで買い物客がやってくるということです。

 この様に、冬のオランダには楽しいことがいっぱい。この国の魅力はチューリップや風車だけはないのです。「冬を知って初めてその国を本当に知った事になる」と言いますが、冬のオランダを楽しんで、オランダをもっと良く知っていただきたいと思います。


<神秘的で美しいクリスマスを迎えるために…>Geber. Van Paridon
住所: N.Z. Voorburgwal 361, 1012 RM Amsterdam
Tel 020-623-5911
営業時間: 10:0017:30(土曜は〜17:00)日・月曜休み
アクセス: スパイSpui広場から徒歩2

Supi広場に近い歴史博物館のすぐ隣にある、宗教美術品の専門店。キリスト誕生の様子を再現している置物、キリスト像やマリア像、キャンドルや美しい十字架等など、本来は宗教的な目的で作られた美術品が売られています。キリスト教徒でなくても心魅かれてしまう、神秘的で美しい品々は、一味違ったクリスマス・プレゼントにぴったりです。

 

<2000年オランダ各地で開催されたクリスマス・マーケット>
都市名 アルフェン・アーン・ライン Alphen a/d Rijn
日 程: 12/912/10
場所と行き方: Winkelcentrum de Ridderho
中部。アムステルダムからライデン乗り換えの列車で50分。

都市名 ヘールレン Heerlen
日 程: 12/912/22
場所と行き方: 南部。マーストリヒトから各駅列車で30分。City Centre

都市名 ノールドワイク Noordwijk
日 程: 12/1312/14
場所と行き方: 西部。ライデンからバスが出ています。所要30分。St. Jeroenskerk

都市名 アーネム Amhem
日 程: 12/1512/17
場所と行き方: 中部。アムステルダムから快速列車(IC)で1時間。Rijnhal

都市名 デフェンテル Deventer
日 程: 12/17
場所と行き方: 北部。アムステルダムから快速列車(IC)で1時間15分。Brink

都市名 ズウォレ Zwolle
日 程: 12/912/10
場所と行き方: 東部。アムステルダムから快速列車(IC)で1時間15分。Ijsselhallen

都市名 ファルケンブルグ Valkenburg
日 程: 12/312/23
場所と行き方: 南部。マーストリヒト近郊。各駅列車で13分。Gemeentegrot

都市名 ファルケンブルグ Valkenburg
日 程: 11/1912/20
場所と行き方: 南部。マーストリヒト近郊。各駅列車で13分。Fluweelen Grot


クリスマスマーケットのチケット売り場
<冬のオランダを楽しむためのヒント>
オランダはメキシコ湾流からの偏西風の影響で、高緯度のわりに冬の気候はマイルドで、東京の冬とあまり変わりません。ただ天候が変わりやすいので雨具は必需。雨は降ったり止んだりと忙しいので、フード付きの雨ガッパがあると便利です。気をつけたいのは日照時間で、夏の間は遅くまで明るいかわりに、冬は4時過ぎには暗くなります。ですから、街中の観光は1日の早い時間に済ませ、暗くなりかけた頃美術館や博物館を訪れると、時間を有効に使えるのではないでしょうか。


オランダ政府観光局